最近よく使うマルチチェーンについてメモっておきます。
マルチチェーン(Multichain)は異なるチェーン間で資金を移動させるブリッジです。例えば、BSCに置いているUSDCをPolygonへ移動する、ということができます。マルチチェーンは手数料が安く、例えばPolygon宛のUSDC送金であれば0.9ドル固定です。固定というのがミソで、金額が大きくなっても手数料が上がりません。
EVM主要チェーンは網羅されており、例えばUSDCであればBSC、Polygon、Avalanche、Fantomなどのチェーン間を資金移動することができます。
使い方例
実際に使ってみます。BSCからPolygonへUSDCを移動してみます。ブラウザでマルチチェーンのサイトを開きます。
メタマスクにログインし、送金元のチェーンに接続します。
①Routerを選択(デフォルト)
②通貨を選択。ここではUSDCを選択
③送金元のチェーンを選択。ここではBNB CHAINを選択
④送金先のチェーンを選択する。ここではPolygonを選択
また
⑤は送金先チェーンのMultiChainが管理しているプール残高です。この例の場合、BSCチェーン上のUSDCのプール残高になります。このプール残価以下の量しか送金できません。
⑥が手数料です。Avalancheチェーンはややガス代がお高いチェーンで手数料は1.9USDCとなっています。
100USDCを送った場合、この0.9USDCが引かれて、Polygonチェーン上で99.1USDCを受けとれます。
承認(最初の一回)
最初に「Approve USDC(通貨名)」ボタンを押します(2度目移行はこの処理は不要です)。確認画面でもう一度「Approve USDC」を押します。すると、メタマスクの承認画面が表示されます。
この画面で確認を押します。
これはMultichainに自分のウォレットのUSDCを利用する許可を与える処理です。デフォルトだと金額無制限なので不安な場合は「アクセス許可の編集」から利用許可の上限金額を指定できます(より安全ですが度々使う場合は毎回承認するが手間なのと、ガス代もそのたびにかかります)。
送金実行
承認が完了すると「Approve」ボタンが「Swap」に変わるので、この「Swap」ボタンを押します。
確認画面が表示されるので「Confirm」ボタンを押します。
メタマスクで処理の実行とガス代を確認します。確認ボタンを押します。
処理が実行され、進行状況が表示されます。送金元のBNB CHAIN上からの送金が完了するとSuccessと表示されます。送金先のPolygonではまだ着金できておらずConfirmingと表示されています。
ConfirmingからRoutingに変わります。
送金先でもSuccessと表示された処理完了です。メタマスク上でもUSDCの残高が増えているのを確認できます。
送金状況の確認
途中で画面を閉じてしまった場合や、なかなか処理が終わらない場合など、送金状況の確認はExplorerから行うことができます。
ここに自分にMultichainのソースTx(トランザクション)や自分のウォレットのアドレスからトランザクションを検索することができます。
なかなか着金しない場合は、まずこのMultichainのエクスプローラでどこまで処理が進んでいるのか状況を確認できます。
サポートチケット
もし2時間以上待っても着金しない場合は、MultichainのSupport→Submit a requestからサポートに連絡します。その際、上のソースTXのアドレスなどが必要になります。
なお、テレグラム( https://t.me/anyswap )でもサポートを受け付けていましたが、2/20現在スパマーの温床になっており、何かトラブルや質問など発言をするとスパムDMが大量に来ます。着金しない場合の報告は、上のsubmit a requestから連絡するのがよいようです。
プール不足で着金しない場合
よくある着金しない原因の一つに「プール残高不足」で処理が途中で終わっていることがあります。プール残高が少ないときによく起こる現象で、ブリッジ処理を依頼した時点はプール残高があっても、着金する前に他の人が先に両替してプール残高不足になるとこれが発生します。
Multichainのブリッジの仕組みは以下のようになっているのです(たぶん、私の理解では)。
移動元チェーンで
①USDCをanyUSDCに両替
②anyUDSCをバーンする
移動先チェーンで
③anyUSDCをミントする
④anyUDSCをUSDCに両替する
Multichainのプール残高は刻一刻と変化しており、着金する前にプール残高が足りなくなってしまうと、anyUSDC(USDCの引換券)の状態で処理が終わってしまいます。
この場合、少し待ってプールが増えているを確認して手動でanySwapをUSDCに両替します。
まずメタマスクで送金先のチェーンに接続します。
①MultChainの画面でPoolを選択します
②通貨を開きます
③が自分が持っているanyUSDCの残高です。画面では0ですが、プール不足で処理が止まった場合はここに残高が表示されます。
④がプール残高です。この残高があるときに両替を行います。
⑤RemoveでanyUSDC→USDCに両替できます。
1/10惰弱性と承認取消
2022/1/10に惰弱性が発見され、すぐに修正されましたが、過去に該当の通貨(WETH, WBNB, MATIC, AVAX, MFI, WSPP, TLOS, IOTEX)を承認した人は自分で取り消す処理が必要です。で、一カ月後の2/18までにハッキングされた分については保証されるそうですが、それ以降は無保証とのこと。
ちょくちょく仮想通貨チェックしてる人ならともかく、普通の人はこんなの対処できないのではないでしょうか・・・。
最近WhormHoleなどブリッジ関係の惰弱性攻撃も頻発しており、それないの金額を入れている場合、承認を金額無制限で与えるのはリスクがあると思います。
通貨の承認を取り消したい場合、私はDebankを使っています(確認しやすい)。ただし、Multichainはunknown project扱いになっており、ちょっと判別しずらいですが。
個々のチェーンのエクスプローラでも承認取消機能がたいていあると思います。BSCの場合はMore→Token Approvalから確認できます。AnySwap XXXというのがMultichainでの承認です。(Multichainからの承認と旧AnySwapのUIからの承認は別々のもよう)
流動性マイニング報酬
プールに資金を供給することで報酬をもらえる仕組みが以前はあったのですが、現在その仕組みはなくなっています。Multichainが自前で流動性供給しています。
↓テレグラムより
Pool画面から流動性を追加することはできますが、追加しても特に報酬はもらえません。
プロジェクト初期にインセンティブ報酬としてトークン(ANY)を擦りまくることで集客しておいて、プロジェクトが軌道にのったらインセンティブ報酬は廃止して、トークンは投票権としてだけ機能するみたいな感じなんですね。
口先だけの夢物語で初期のインセンティブだけで次の段階に進めず終わってしまうプロジェクトが多すぎるので、どうにもうさんくさい仮想通貨界隈ですが、ちゃんと次の段階に進んでるプロジェクトを見るとトークンによる柔軟な資金調達というお題目もありだな、と納得はできますね。
ガバナンストークンを擦りまくらないのであれば利益が出ていれば毎年価値が上がっていくので握りしめておくのも悪くない?ANYの場合は、昨年から大分上げましたが、2022年は他の仮想通貨同様暴落。さらに1月の惰弱性もありユーザー離れが進んでいるようにも見えます。他にもブリッジのサービスが続々と立ち上がる中どうなっていきますかね?
なお、ガバナンストークンはANYからMULTIに最近リブランドされたらしいです(詳しいいきさつは調べてない)。1 vs 1 のレートANY→MULTIに交換可能。
Q1: What is the purpose of a brand refresh?
Founded in July 2020 as a cross-chain decentralized exchange, Anyswap is now transforming into a cross-chain solution provider. In order to create strong brand positioning in the market and provide users with better cross-chain services, Anyswap is relaunched as Multichain with a focus on infrastructure for arbitrary cross-chain interactions.
https://docs.multichain.org/faq
たくさんあるブリッジ
私はMultichainとcBridgeぐらいしか普段使っていないのですが、世の中にはどえらいたくさんのブリッジがあるみたいです。ていうか俺も俺もってチェーン作りすぎやろ・・・
以上、Multichain(旧AnySwap)について最近使ってみた、調べてみたことをまとめてみました。
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